恋愛ゲームというサブカルチャー 〜日米ナンパ師たちのバイブル、『ザ・ゲーム』を読む〜

モテは外見からと思い、とりあえずジムに入会しました。
どうも、こんにちまっちょ。ハチです。
今回で3回目となる恋愛書評連載企画「ハチの本読んでラヴゲッチュ」。この企画は、理論的に「モテ」について学ぶため、「恋愛」に関連した古今東西の名著やベストセラーを読み、さらにこのブログでアウトプットしていくというものです。
「理論を先行させるよりもまず行動」をモットーに生きてきた私が、理論的に「モテ」を理解することができれば、完膚無きまでのモテを手に入れることができるのではないかと考えたのです。
さて、前回は「恋愛工学」で有名な藤沢数希氏の『ぼくは愛を証明しようと思う。』について、自身の失恋経験を参考にしながらモテるための方法について考察してみました。
今回は、モテるための具体的な方法について記されており、ナンパ師たちのバイブル的な本でもある『ザ・ゲーム フェニックスシリーズ』という書籍を読みました。
書評
果たしてナンパバイブルなのか
元々ニューヨーク・タイムズ、ローリングストーンなどで音楽ライターとして活躍していたニール・ストラウス氏が書いたノンフィクションで、2012年に出版されています。アメリカ発のナンパバイブルとして、日本でもナンパ師の間では知らない人がいないほど有名な一冊です。
大まかな内容としては、著者のニール・ストラウス氏が、アメリカにあるナンパコミュニティに入り、数々の師匠からテクニックを学びながら一流のナンパ師になっていくという事実に基づいた物語です。そしてそのサクセスストーリーの過程に具体的なナンパテクニックが散りばめられています。
ただ、私が読んだ所感としてはナンパのナレッジ本というよりも、「いかに恋愛と向き合うか」というテーマを、ナンパという切り口から伝えようとしている本のように感じました。
ナンパをしている時点で敗者
ニール・ストラウスはライターとして真面目に生活をしている中で、ひょんなことからナンパコミュニティと出会い、ナンパというサブカルチャーにはまっていきます。名前を偽り、服装を変えて、魅力的な役者を演るようになっていきます。
そんな彼は、自身がナンパをする理由について次のように語っています。
引っかかるのは、いったいなぜそれほどまでにナンパが俺にとって重要なのか、なぜ俺はこんなにもあっという間に例のハンドルネームだらけのオンラインコミュニティに魅入られてしまったのかということだった。
たぶん、俺にとって「異性を魅了する」ということは、自分が人生で失敗したと思っている唯一の領域だったからだ。
(出典:ニール・ストラウス『ザ・ゲーム』51ページ)
本書では様々なナンパ師(PUA:ピックアップアーティスト。ナンパを常習的に行なっている人)が登場しますが、そのほとんどが女性にトラウマがあったり、女性と交際をしたことのない人達です。
彼らがナンパをする理由は、彼らがそれを自覚しているかどうかは別として、「過去の恋愛の失敗を取り返すため」なのかもしれません。
私の、ナンパとの出会い
思い返してみると、自分がナンパをしていたのも「過去の恋愛の失敗を取り返すため」だったような気がします。
前々回の記事で書かせていただきましたが、私は中学高校時代にまったくモテず、大学に入ってからも大好きな女性に告白して振られたりと……なかなかの非モテっぷりでした。
私がナンパをはじめたのは、そんな非モテに悩む大学生のときでした。
当時は「なぜナンパをするのか」などは考えていませんでしたが、強いて挙げるとすれば、「見た目も喋りもそこまで悪くないので、声をかける勇気さえあれば自分もモテるのではないか?」と思ったからです。
しかし、思い返してみるとやはり「過去の恋愛の失敗を取り返すため」の行動だったのかもしれません。振られた理由が「自分に魅力がなかったから」ということを認めたくなくて、ナンパで証明しようとしていたのかもしれません。
服装を変えて、自分のキャラクターを変えて、喋り方を変えて……そんな偽りの自分を創り出して女性に声をかけていましたが、それでも確かに充実感のようなものを感じていました。
ナンパというサブカルチャーが特殊である最大の理由は、この「偽りの充実感」が強すぎるということだと思います。
ナンパはまさにゲーム
ナンパ生活は君に多くをもたらしてくれる。もちろん、俺もそうだった。しかし、同時に多くを奪い去ってしまう
(出典:ニール・ストラウス『ザ・ゲーム』460ページ)
ニール・ストラウスは一流のナンパ師になり、数々の女性を口説き落としていく中で、ふと虚無感を感じはじめます。冷静になって考えてみると、ナンパによって自分が得たものは何もなく、むしろ時間や労力、そしてナンパにハマる前には持っていたものを失っていってしまっているのではないか、と感じはじめます。
まるでテレビゲームのように、プレイしている時は熱中して取り組み充実感を味わうことができるのですが、終わってみると何も残っていないことに気づきます。
これはナンパをするしないに限らず、一人の女性と真剣に交際せずに曖昧な関係を続けていたり、複数の女性と遊んでいたりしている人にも当てはまるのではないでしょうか。
最悪の解決策
この虚無感を脱する方法として、私がとった行動は一人の女性を好きになるということでした。
ナンパアーティストにはオンリーワン中毒という言葉がある。一人の女の子に夢中になってしまったときにかかる病気みたいなもんだ。そうなってしまった場合、その子とはけっしてうまくいかない。なぜなら意識しすぎて彼女を逃してしまうからだ
(出典:ニール・ストラウス『ザ・ゲーム』616ページ)
つまり私はオンリーワン中毒になってしまったのです。
結果、ニール・ストラウスの言う通り、うまくいかず振られてしまいます。
そして、これがまた自分の「過去の恋愛の失敗」となっているのです。
恋愛スパイラル
非モテからナンパを知り遊ぶようになり、虚無感から愛を求めて彼女を作り、「非モテコミット」によって振られ、それがまた「過去の恋愛の失敗」となり、その失敗を取り返すためにまた遊ぶ……。
本書においても、ナンパコミュニティのメンバーが人生の目的がナンパだけになり、おかしくなっていたり、この恋愛スパイラルに陥り精神的に崩壊していく様子が描かれています。
前に進んでもスパイラルをぐるぐる回るだけ。
立ち止まってもこのサブカルチャーには得るものが何もない。
ではどうすればいいのか。
私はこの負のスパイラルの原因は、本書でいう「オンリーワン中毒」であり、前回の記事で紹介した『ぼくは愛を証明しようと思う。』でいう「非モテコミット」だと思っています。
つまり、「一人の女性を一途に好きになることが関係性を悪くしてしまう」ということにどうも納得がいきません。
おそらくここに関しては、女性目線の恋愛に対する考え方を知る必要があると思います。
ということで、次回は女性向けの恋愛本として有名な『THE RULES―理想の男性と結婚するための35の法則』を読んで、考えてみたいと思います。