すき家にてもの思ふ | ABYSS 〜 アビス 〜

すき家にてもの思ふ

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先日私は会社帰りに仲間と近くのすき家に寄った

奥のテーブルに腰掛けメニューを選んでいると、斜向かいのテーブルから、なにやら匂いがする

どうやらそこに座っている男性からのもだった

見ると、何日も風呂に入っていないかのような風体だった

早く出てくれないかと思っていたが、食事が済んでいるにも関わらず、なにやらスマホとにらめっこをしてまったく動こうとしない

自覚がないのだろうか

スマホという近代機器を使えていることも不思議だ

私は、楽しく食事している時に、臭いとふてぶてしさで気分を害され、とても苛立っていた

しかし、もっと近くに座っていたともゆき(仮名)は顔に出すこともなく普通にしていた

みんなが楽しく話している中、我慢ができなくなり「もう出ない?」と切り出した

仲間は、唐突に切り出した私を不思議そうな目で見つめた

お店側にも問題があると思い、会計時に店員に軽く一言いい、すき家を後にした

その後、私とまさのぶ(仮名)だけは、忘れ物をとりに会社に戻った

道中、離れた席に座っていたまさのぶに、さっきのことを話すと、

「将来幸せになるのはともゆきだな」

と言った

自覚がない男性の方に問題があると思った私は、まさのぶの言っていることがわからず、不機嫌なまま帰路に着いた

 
 
 
 
 
 

ともゆきが家に着くと、すき家の男性が現れこう言った

「さっきはありがとう。申し訳ないとは思ったが、私はあまりの寒さにお店に入ってしまった。楽しく話しているところ、迷惑をかけて本当に申し訳ないと思う。これは心からのお礼だ」

彼の手には一つの札束が握られていた

ともゆきは、「いえ、よくわからないんでいりません」と言った

「君は優しいな。君の未来はきっと明るいよ」

そういうと、男性は何処へともなく消えていった

一方その頃私は、ジムで汗を流した後家に着くと、仕事と運動の疲れからか早々と寝床についた

翌朝、寒さで目覚め、周りを見渡すと、どうやら上野駅のホームにいるようだ

 
 

そうか、今までのことは夢だったんだ

 
 

なんとも言えない虚無感に打ちひしがれていると、不意にお腹が鳴った

ポケットに手を入れてみると、いくばかの小銭が入っている

目の前にはすき家がある

よかった。このお金で空腹を満たしながら暖かい店内でもうひと休みしよう

気を使って端に腰かけた私は、牛丼ライト(並盛り)を注文した

隣には、若い4人組が楽しそうに話している

その中の1人が、私が隣のテーブルに座るやいなや、みんなにヒソヒソと話し出した

そして、トイレに行くふりをして店員に何か話しているようだ

気にとめていなかったが、まもなく店員が近寄ってきて、私にこう言った

「お客様、その、、他の方のご迷惑になりますので、お引き取り願えますか?」

私は夢のことを思い出し、とてつもない罪悪感に襲われることになった

ともゆきの大躍進があったのは、その後まもなくのことであった

 
 
 
 
心にゆとりと、人に対する優しさを持とうと思った